俺に溺れとけよ
「務くんがくれば大丈夫だよ」


私の肩をポンと叩くと、凪は元気づけるようにニコッと笑った。




「そうだね。私じゃまだ紡の力にはなれないから…お兄さんには急で申し訳ないけど力を貸してもらうよ。紡には大会で精一杯の力を出し切って欲しいし」


私が素直な気持ちを言うと、凪と健くんは顔を見合わせてニヤニヤした。





「何?」

「いや…なんか美海も紡の彼女らしくなってきたなと思って」


その言葉に顔がカッと熱くなる。





「そ、そっちだって付き合ってるらしくなってきたじゃん!前は凪が恥ずかしがってたのにさ~」

「なっ…」


今度は凪が顔を赤くして健くんが笑った。


凪と健くんはつい最近付き合い始めたらしく、この前凪から報告を受けた時は本当に嬉しくて泣いてしまった。

凪が恥ずかしがってまだ付き合うことになった経緯は聞いてないけど、いつか聞けたらいいなと思う…

親友が幸せになってくれると私も幸せだ。











「健ー!」

「務兄!」


しばらく電車に揺られ到着した駅の改札に向かうと、肩掛けバックを持った男性が健くんに気づいて笑顔で近づいてくる。



この人が紡のお兄さん!?

…めちゃくちゃかっこいい!

当たり前だけど紡に似てるなぁ。






「迎えに来てもらっちゃって悪いね」

「ううん。久しぶりだね」

「健背伸びた?なんか大人っぽくなっちゃったな~もう高3だもんな」
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