俺に溺れとけよ
「相変わらずだな。悩み事があるといっつもそうだよなあいつ…わかりやすいつーか…」


ケラケラ笑って言う務さんは、紡のことをよくわかっているようだった。




「紡は変わってないよ」


窓の外を眺める務さんはお兄さんの顔をした。


そして地元の駅に着きバスに乗ってスポーツクラブの室内プールまで来ると、ひときわ目立ちながら泳ぎ続けている紡を発見。






「あー全然ダメだな。フォームガタガタだしなってない。本当どうしちまったんだあいつは」


遠くから紡の泳ぐ姿を見てダメ出しする務さんは、その場で服を脱ぐと水着を着ていた。






「水着着てたんだ?」

「ああ。久しぶりにあいつと泳ぎたくてさ…」


務さんは健くんに自分の荷物を預けると、泳いでいる紡に近づき大声で声をかけた。






「その泳ぎじゃ全国はいけませんよー?」


務さんがそう言うと、泳いでいる紡が立ち止まり水から顔を出してキャップとゴーグルを外す。





「務!?何でいるんだよ??」

「里帰り&お前に会いに来たに決まってるだろ♪」
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