俺に溺れとけよ
休憩スペースにある販売店の方を眺めながら、軽く返事をする務。






「…最近は泳いでないのか?」


務の足元に目をやる俺…


俺のせいで務は水泳を辞めた。

結構すごい成績だったのに…






「何?心配してくれてんの?んとに、可愛い弟だね」

「どうなんだよ?」


すぐヘラヘラする所は本当に変わらないな。

こっちが真剣に話しているのにいつも調子が狂う。





「泳いでるよ。大学でサークル入ったんだ」

「…そうなのか?」

「ああ…俺もそれなりに頑張ってるんだよ」


務はこっちを振り向くとニコッと笑うと、先にスタスタと歩き始める。


てっきり辞めたと思っていたのに…

俺は安心して少し微笑んだ後で、缶をゴミ箱に捨て務を追いかけた。




務も一歩踏み出したんだな。


俺が美海と出会ってまた泳ごうと思ったように…
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