俺に溺れとけよ
「ふぅ…」


お風呂に入ってちょっとさっぱりしたな…

紡にこっちから連絡してみようかな。






「あ、美海。外に紡くん来てるよ?」

「え!?」


ドッ


冷蔵庫を開けて缶ジュースを手に取った後で、

お母さんのその言葉を聞き思わず缶を落としてしまいそれが足の親指に当たる。







「痛ったぁい…」

「何やってんのよ…早く行ってあげなさいよ」

「は、はいっ」


じんじん痛む親指を庇い玄関までダッシュすると、サンダルを雑に履いて外に飛び出した。


家の敷地内を抜け外の小道に出ると、紡が塀にもたれかかりながらぼんやりと夜空を眺めていた。






「紡!」

「…よ」


私に気づくと紡はもたれかかっていた体を起こし、こっちに近づいてくる。



慌てて出てきちゃったから、まだ髪の毛も乾かしてないしスッピンだと思った私は…

着ていたパーカーのフードをかぶり髪や顔を隠した。






「待たせちゃってごめんね!」

「いいよ。連絡なしに急に来たのはこっちなんだし」
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