俺に溺れとけよ
バッシャーンッッッ


するとその男子は綺麗なフォームで水に飛び込むと、クロールで泳ぎ始めプールサイドで足をバシャバシャさせている私の目の前を物凄い速さで通り過ぎていった。


あんなに綺麗なフォームでしかも泳ぎ方がすごく生き生きしてる…水と一体化してるというか…素人の私でも彼が本格的に水泳を取り組んでいるのがわかる。

私があの人を覚えているのはそんな理由もあった…ただ泳いでいるだけなのにこんなふうに釘ずけになってしまったのは生まれて初めてだ…





「アハハハ」


彼の泳ぎに見とれていると、また同い年くらいの男子数人がプールに入って来てキャッキャとはしゃいでいた。私は立ち上がって逃げるようにプールから出ている。


夕方になるといつも混んでくる為、人が少ない16時からの1時間足らずが私の唯一プールを楽しめる時間。

男のお客さん方が多いから気まずいっていうのもあるけど、それ以前に私はかなづちで実は泳げない…

だけど水に触れてるのは好きだし落ち着くので、こうやってプールに通っている。


泳ぎもしないくせにずっとプールに居座るのは利用してる他の人に迷惑だし、変な目で見られるから混んで来たらすぐ帰るようにしてるけど…

だったらプールなんて行かなきゃ良いと思う所だが、おじいちゃんがここの会員費を出してくれたしそれに放課後はいつも暇だしね…
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