俺に溺れとけよ
「あ。でも泳げないのに海行ってもつまんないか?」

「う…」


正直なところがたまに傷かもね。そこも良いとこなんだろうけど…(笑)







がやがや


バスに20分揺られてやって来たのは隣町の駅で、ここは私達の住むところより栄えていて店がたくさんある。

服やちょっとした物を買う時はここまで出てきて買い物をする人が多いらしい。




「お前の友達…わざわざ東京からここまで来るのか?」

「うん…お互い中間地点で会おうって言ったんだけどいいって」


そういうところ陸っぽいんだよね。強引だったり意地悪だったりするけど、なんだかんだ優しいんだよ。




「美海ー!!」


すると聞き慣れた声が聞こえて目を向けると、駅の改札の前で私の名前を呼ぶ男子が見えた。

髪は明るい焦げ茶色の少し長めのスタイルに、ちょうどいい身長と男子にしては少し華奢な体つき。黒いロンTにジーンズで一見チャラそうに見える。そう、あれが陸だ。
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