俺に溺れとけよ
「急にごめんね…ちょっと聞きたいことがあって…」

「聞きたい事って?」


しばし言葉を詰まらせた後、私は口をまごつかせながら蒼井くんに言った。





「水泳部に入らない?」


言った後すぐ後悔…

もっと他に言い方があるでしょ。





「…急にどうした?」

「あの…えっと」


やっぱり聞き方失敗したよ。急にこんな事言われても意味わかんないよね…

どうしたら……





「…蒼井くんは水泳好きだよね?」


また変な聞き方してしまった。蒼井くんは私の質問にキョトンとしている。

こんな唐突に聞かれたら当然だよね…





「まあ…嫌いと言ったら嘘になるけど」

「だよね…」


うぅ、水泳部ってはっきり言えない…どうせ断られるってわかってるから怖いのもあるんだけど…





「あーー!いた!!」


その時後ろから大きな声が聞こえ振り返ると、そこには見かけない男子生徒2人が立っていて私達を見ている。





「お前らか…」

「んな顔すんなよな~」


少し嫌そうな顔をする蒼井くんを見て、男子の1人がケラケラと笑い始める。





「今日はこれから2人でプール?」

「違うよ」
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