俺に溺れとけよ
1人の可愛らしい雰囲気の男子はテンションが異常に高く、もう1人の男子は無表情のまま立ち尽くしている。




「あれ?もしかして君水野さんて子?」

「そうですけど…」


なんとなく敬語を使ってしまった。この男子がどちらかというと大人びて見えたから、ひょっとした先輩かと思ったからだ。





「やっぱりね♪うちの部のマネに紡の水泳部の勧誘頼まれた子だろ?」

「え…」


その男子の言葉を聞き私も蒼井くんも同じ
顔をして驚く。私が聞こうとしていた事を彼に全部言われてしまったのだ。






「そうなの?」

「え?あーうん、まぁ…」


蒼井くんに顔を覗き込まれて、あたふたしながら返事をする私は言葉を濁しながらも頷いた。




「凪の奴、お前の事相当水泳部に入れたいみたいだな。ま、俺達もだけど…な?健(たける)」

「まぁ…」


明るい感じの男子の言葉に答える無口な男子は、健という名前らしい。首を縦に頷いいていたけどなんかどうでも良さそうに見える…

よく見たらこの男子達っていつもスポーツクラブで見る人達だ…

どちらかというとワイワイ騒いでて、この人達が来ると苦手意識が働いて私は逃げるように帰っちゃうんだよね…






「なぁ…もういい加減降参して水泳部入れよ。水野ちゃんだって言ってるんだしさ」


明るい男子が私を勝手に「水野ちゃん」と呼ぶ。別にいいけど少し恥ずかしい…






「うーん…お前はどうする?」

「え?」


蒼井くんが少し考えた後で私にさり気なく聞いてきた。

どうするってどういう意味…?






「水野が入るなら俺も入る」

「ええっ!?」
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