俺に溺れとけよ
「大会があったら応援行くからね!」

「私は泳げないから出場出来ないって」


またみんなに笑われた。









「…と、いうことで~この度水泳部に2人新メンバーが加入しました~」


翌日の朝。いつもより早く学校に集合して、水泳部のメンバーと軽い顔合わせをした。

屋上に続く階段の最上階が水泳部の集まり場らしく、そこには昨日の明るい男子と健くんと相馬さん、そして二年生の先輩がいた。




「部長の大津翔(おおつ かける)だ。2人の入部本当に感謝するよ。特に蒼井はうちのかなりの強みになる。期待しているよ」


大津先輩は色白で見た目はどちらかというとインテリの雰囲気があり、サラサラの黒髪にめがねをかけて見た目からは水泳部には見えなかった。少し厳しそうな感じではあるが頼りになる兄貴感が滲み出ている。




「今更自己紹介しなくても、大津先輩の事は前から知ってますよ」

「そうだったな。お前には入学前から勧誘しまくってるし」


部長は蒼井くんの肩をポンポンと叩いた。

高校に入学する前から勧誘してたなんて…蒼井くんてよっぽどすごいんだな。





「俺は川崎涼(かわさき りょう)でーす☆得意種目は平泳ぎかな~よろしくね」


明るい男子の名前は川崎くんというらしい。彼は一言でいうとかわいい系男子という感じで、細身の体とオレンジ系の癖のある髪に人懐っこさがある。まだあまり知らないけど話しやすい人だと思った。





「杉野健(すぎの たける)。得意種目は平泳ぎ」


今日も無口で無愛想の健くん。しかも後半はあくびしながら言ってたし…彼は黒髪の単髪でスポーツマンタイプ。キリッとした男らしい顔していてモテそうだと思った。





「やる気あんのかお前…」

「眠い…」


蒼井くんに突っ込まれてまたあくびをする健くん。2人は仲いいのかな?





「紡達も自己紹介してよ」


腕を組んで壁に寄りかかる相馬さんが、私達に言う。私は慌てて立ち上がって声を出した。




「み、水野美海です!迷惑かけると思いますがどうぞよろしくお願いします!」


上がりまくての自己紹介。なんでもっとスマートに出来ないんだろ私…





「マネージャーが増えて嬉しいな~しかも可愛い子だしね♪」


川崎くんがニコッと笑いながら言うと、私は顔を赤くして否定しまくりながらまた腰をおろした。
< 33 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop