俺に溺れとけよ
私の頬に汗が流れ落ちる…そして…




「夜の学校のプールに隠れて忍び込んでたわけっー!!?」


凪の雷も落ちた。海近くの一通りの少ない道路で凪の声が響き渡る。

いつかバレると思っていたけど結構早かったなぁ…




「隠れてこんな事してるなんて…それに美海はマネージャーでしょ!?」


道端で凪にガミガミ怒られ、私は何度もごめんなさい!と頭を下げる。




「水野を責めるなよ。俺が水野に頼んで鍵開けて貰ってたんだ。水野は悪くない」


蒼井くんが私の前に立って庇ってくれた。凪の表情は一瞬曇る。好きな人にこんな事言われたんだもん、当然だよね…





「凪ごめんねっ!バレたら怒られるって分かってたんだけどつい…」

「…別にいいのよ。学校のプールに忍び込むくらい…なんて事無いじゃない。ただ…」


凪は恥ずかしそうに俯いた後で、また顔を上げて私達を見つめた。




「仲間はずれにされてちょっと悲しかっただけ…今度から私も頼ってよね」


そう言ってぺろっと舌をだす凪をすごく可愛いと思った。私達は皆で笑った。




いよいよか…

明後日大会なんだね…








2日後。


ピーーーッ………!


ひっきりなしにホイッスルの音が飛び交い、田舎の体育館なんかと比べ物にならないくらいの大きさの運動体育館に到着。

昨日東京入りして一泊した後、全国大会が行われる運動体育館へ。部員達はいい緊張感があり体調も問題なしだった。





「また少し時間があるからこの辺にいようか」

「そうだね」


私達は体育館のベンチに腰掛け、とりあえず出番が近づくのを待つことにした。部長達がプログラムを確認しながら話しているのを耳にしていると…






「美海?」


誰かに声をかけられて顔を上げるとそこには陸の姿が…




「陸!?何やってんの?」


驚きながら立ち上がって近づくと、陸は一緒にいた友達を先に行かせて私に笑顔を向けてきた。
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