俺に溺れとけよ
ガラッ…


すると上の方から物音がして見上げると、窓から蒼井くんが顔を出して私を見ていた。





「あ…」


思わず顔を赤くすると…




「すぐ行く!」


蒼井くんはそう言って窓を閉めた。私は緊張して足が震え始める。






「…水野」


言っていた通りすぐに蒼井くんが来て、私に近づいてきた。部屋着姿でラフな格好をしていてそれがまたかっこよく見える。




「急に来てごめんねっ。あ、あの…」


みんなの前で渡すよりもやっぱりこっちの方が恥ずかしかったかも…





「うん…」


蒼井くんの表情を見ると、私が誕生日プレゼントを渡しに来たってわかっているみたいだ。

私の手荷物を見れば当然だけど…






「…さっき……渡せなくて……これ…」


そっとプレゼントを指し出す。恥ずかし過ぎて蒼井くんの顔見れない。





「あ…りがと。開けるよ」

「うん…」


最初に凪と一緒に買った方を渡す。蒼井くんはラッピングをそっと解く。




「マフラー…」

「そ、そう。これから冬になるからどうかなと思って…」


私が選んだのはマフラーで紺色の大人っぽいデザインのもの。蒼井くんは青が似合うと思ってこれにしたんだけど…





「ありがとう。マフラー持ってなかったから嬉しい」

「本当に?良かったぁ…え!暑くない!?」


あげたマフラーを早速首に巻く蒼井くん。

夏が終わったって言ってもまだ10月だし、ちょっと肌寒いくらいだから暑いでしょ?
< 64 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop