俺に溺れとけよ
「でさ~これ私と美海の中学時代の写真なんだけどぉ、見てみて♪ちょーイケてて」

「もういーから。話長いし」

「なによも~」


自分のスマホを出して、私に見せようとしてくれてるお母さんを蒼井くんが止める。





「あんたちゃんと家まで送り届けなさいよー」

「わかってるよ」


お母さんにベシっと背中を叩かれうざったい顔をする蒼井くん。私はお母さん達にもう一度お礼を言って2人で家に向かった。






「今日はありがとね。ご馳走してもらった上に帰りも送ってもらっちゃって申し訳ないな」


私としては一秒でも蒼井くんと一緒にいられて嬉しいんだけど…




「こっちこそ家事まで手伝わせてごめん。でもあのケーキ作ったなんてすげえよ。うまかったし」

「良かったぁ。実は前からずっと練習してて…今日は今までで一番上手く出来たんだよ」

「練習してたの?」

「うん。ん?どうしたの?」


私の顔をじっと見てくる蒼井くん。





「いや…なら尚更嬉しいなと思ってさ」


蒼井くんのその言葉に私は顔を赤らめて、何も言い返す余裕がなくなってしまった。



嬉しすぎて言葉が出ないよ…

蒼井くんにどう接したらいいのかわかんない…





「実は俺も苺のケーキ派だから水野の気持ちわかるんだ」


まだドキドキの余韻を引きずりながら、蒼井くんの話しに必死で耳を傾ける。




「そうなの?」

「うん。家族は割りと甘さ控えめのチョコとかチーズケーキに行きがちなんだけど…俺は普通のショートケーキの方が好きだよ」

「それ聞いて改めて安心したよ~苺のケーキにして良かった」


散々迷って苺にしたけど、ビターチョコ系とかにしようかなとか思ってたし。




「何か作ってもらうのって嬉しいんだな。買うのとはまた違うっていうか…」
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