俺に溺れとけよ
「あっ…もしかしてデッキブラシの先が当たった!?」


私が片手にデッキブラシを持ったまま転んだから、受け止めてくれた時に先が刺さったんだ…





「ごめんねっ!絆創膏持ってるからすぐにっ」

「このくらい大丈夫だよ…」

「ダメ!カバンに入ってるからちょっと待ってて」


美しい顔に傷を付けてしまった…!

蒼井くんのご両親やファンの皆様申し訳ございませんっ



私はプールの更衣室に置いていたカバンからポーチを出して、急いで絆創膏を探す。

確か消毒液も持ってたような…





「…こんなの擦り傷だから大丈夫。それに絆創膏あるとかいって見当たらないみたいだし」


すると蒼井くんが更衣室に入って来て、私に近寄って来る。





「あるある!ほらあった!」


ポーチから絆創膏と携帯用の消毒液を出して、蒼井くんと向かい合う。そしてティッシュに消毒液をつけて、蒼井くんの目の下の傷に当てた。





「痛い…?」

「ううん」


引っかき傷程度だけど…早く治ればいいな。

そう願いながら絆創膏を剥がして、蒼井くんの目元に近づけた。




「ごめん…もう少しかがんでくれる?」

「ん…」


私の目線と同じ位置に蒼井くんが来目がバチッと合うと、恥ずかしくなって急にも目をそらした。




「…傷を負わせてしまって申し訳ない」

「ハハ、侍みたいな言い方だな」


恥ずかしさを隠すように、私は違うキャラを装いながら話をすると蒼井くんは笑った。




「はい、貼れた…」


そっと丁寧に絆創膏を貼ると、蒼井くんとまた目が合い慌ててそらして手を下に下げようとした時…
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