俺に溺れとけよ
蒼井くんのファッションを見たあとで、自分の着ている服に目をやった。


散々迷って白のキャミワンピにしちゃったけど…大丈夫かな?

蒼井くんにダサいとか思われてない?これから一緒に歩くわけだし不安だな…





「あ、バス来たよ」

「ぁ…」


向こうからバスが見えると、蒼井くんはごく自然に私の手を握ってきた。

その瞬間ドキッと胸が鳴る。



せっかくの初デートなんだから…マイナスの事考えるのは良そう。

誕生日だし楽しまないとね♪








「わぁー」


バスと電車を乗り継いで蒼井くんが連れて来てくれたのは、地元から少し離れた場所にある水族館。

最近リニューアルして改造されたと聞いていたから、密かに行きたいと思ってた。

目の前に広がる大きな水槽に泳ぐ魚達を見てテンションが上がる。





「すごーい!私水族館大好きなの」

「なら良かった」


久しぶりに来る水族館に、蒼井くんと一緒に来れるなんてこんな幸せなことないよね…





「サメ、でか」

「本当だ」


2人で水槽にかじりついて眺めていると、他のお客さんにぶつかりそうになり少しよろけてしまう。




「おっと…大丈夫?」

「う、ん平気!混んでるね」

「夏休みだしな」


そっか。それで子供連れのファミリーが多いのか…





「迷子になるなよ」

「ならないよっ」


プッと笑う蒼井くんは、そう言って笑いながら私の手をまた握る。


今度は指を絡ませて…恋人繋ぎ…

幸せ…



広い水族館をそのまま手を繋ぎながら満喫。薄暗い室内にドキドキしたり珍しい魚て驚いたり…本当に楽しい。





「私魚ってすごい好きかも…」

「泳ぐのが上手いから?」

「ムッ」
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