私のイジワルご主人様

作業の手を止めて鴻上くんを見ると、彼は口の端を上げてニヤリと笑った。



「のどかわいた。ジュース買ってきて」



「えー…」



「あ、そんなこと言っちゃうんだ。オレのこと好きなんじゃないの?」



「そうだけど、それとこれとは…」



「あれー?証明してくれるんじゃなかったの?」



ぐっ…!
それを言われてしまったら動かないわけにはいかないじゃない。


仕方なく腰を上げるあたしの手にお金をにぎらせながら鴻上くんはニコッと笑う。



ーその笑顔はズルい。



「やった♪」とでもいうような嬉しそうな笑顔を向けられたあたしの胸がキュンと鳴る。


もう。
その笑顔ひとつでなんでもしてあげちゃう気になるってわかってる?


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