私のイジワルご主人様
「何がいいの?」
「ワンちゃんのおすすめで。二本よろしく」
「わかった。何買っても文句はいわないでね」
教室の扉にさしかかったところで、
「ダッシュで」
後ろから声がかかる。
え、今ダッシュって言った?
空耳??
思わず振り返るとイジワルな瞳と出会う。
「ダッシュ。二回言わないとわからない?ワーンちゃん」
少し小バカにしたような言い方にあたしの中でわずかな怒りがこみあげる。
「いってきます!!」
その怒りを扉にぶつけると、扉は今までにない音を立ててスパーンと開いた。
その音に驚いている鴻上くんを残して、あたしは自販機までダッシュした。