私のイジワルご主人様
あたしはある意味、近い位置にいるけど彼女からは一番遠い場所にいる。
だから当然、甘ったるいことなんて何もない。
あるはずもない。
……わけなんだけど。
「い、犬ってなによ?よくわかんないけど、あんたが鴻上くんにまとわりついてんのはかわらないじゃない!!」
やっぱり犬だから、っていう理由じゃ納得してくれないか。
小さくため息をつくと同時に、ポケットに入れていたスマホが軽快な音を鳴らしはじめた。
この着メロは鴻上くんだ。
とらなきゃいけないことはわかっているけど、今とったら確実にややこしいことになる。
ごめん、鴻上くん。
今はとれないよ。