私のイジワルご主人様
人気がある人の側にいるっていうのはこういうこと。
犬扱いのあたしでさえこれなんだから、例え女友達であっても何かと文句を言われて鴻上くんのまわりに居づらくなるようにさせるんだろう。
彼女ならなおさら…。
「鴻上くんに聞かなくたって、あんたなんて迷惑に決まってるじゃない!!」
「何かの役にたってんの?そんなわけないわ」
女の子たちの文句は次から次へと出てくる。
ここで何か口答えしようものならさらにヒートアップしそうな気がして、あたしはぎゅっと唇を噛み締めて耐えた。
「だいたいあんたなんて鴻上くんに似合わないわ!!」
相手の女の子たちがひときわ甲高く叫んだタイミングと同じくらいだっただろうか。
「…誰が似合わないって?」
ざり、と土を踏みしめる音とともに後ろから聞きなれた声が聞こえた。
「…っ!!」
あたしの前に立っている女の子たちが息をのんだのがわかる。
声のした方に視線を向けると、そこにいたのは…。
…あたしの、ご主人様だった。