私のイジワルご主人様
イジワルご主人様
体育館裏から校舎に戻る道を歩きながら、あたしは鴻上くんを見上げる。
さっきの女の子たちのこととか、「大事な子」といってくれたこととか、聞きたいことはあったけど、なんて切り出したらいいのかわからない。
「…ワンちゃん。オレさ」
どうしようか困っていると鴻上くんが先に口を開いた。
「女子の言葉が信じられないって言ったよね」
「…うん」
「オレの前ではいい子に見えるんだけど、ああしてオレのまわりにいる女子をオレの知らないうちにいじめて、傷つけて…」
「…うん」
「気づいてやれなかったオレも悪いんだけど…それで大事だった人はオレから離れていったよ」
うん。それはご褒美デートのときにわかってた。
鴻上くんの気持ちが痛いくらい伝わってきたから。