私のイジワルご主人様
「あたしは絶対に鴻上くんから離れない」
「…犬扱いでも?」
力強くうなづくと、鴻上くんの頬がゆるんだ。
「…もう、ワンちゃんにはかなわないな」
「そうかな?」
「うん。そんなワンちゃんだから一緒にいたいって思ったのかも」
鴻上くんはあたしの頬にそっと手を添えるとゆっくりと上向かせた。
「ワンちゃんは…オレの一番大事な子だよ」
あたしの目に少しイジワルな、だけど優しい鴻上くんの顔が映る。
「ねぇ、オレと一緒にいてくれるんだよね?」
そんなの確認しなくてもわかってるはずなのに。
あたしは答えるかわりに笑顔を返す。
それに反応するように鴻上くんの顔が唇に触れそうな距離まで近づいてくる。