私のイジワルご主人様
あたしの顔はこれでもか、というくらい熱をもっているのが自分でもわかる。
間近にある鴻上くんの顔に恥ずかしくなって思わず顔をそらすと、楽しげな鴻上くんの声が耳に届く。
「ワーンちゃん。こっち向いてよ」
「…イヤ」
「仕方ないなあ」
鴻上くんはかるく息をつくと、あたしの耳元に顔をよせる。
「…ひな」
いつもより少しばかり低く、色気のある声が耳元をくすぐる。
な、ななななにするのよぉっ!?
い、いま、耳に息があたったんですけどぉぉぉ!!
頬をふくらませて少し睨むようにして鴻上くんを見ると、イジワルな瞳があたしを捉えていた。