私のイジワルご主人様
「なんでもいいので、側にいさせてください!!なんでもするので!!」
「…なんでも?」
「はいっ」
勢いこんで答えるあたしの目にクスリとイジワルくほほ笑む鴻上くんの姿が映る。
え?あれ?
鴻上くんってこんなイジワルそうな顔をする人だったっけ…
「ふーん…なんでもする、ねぇ。面白い。いいよ、側にいさせてあげる」
ざり、と土を踏みしめて鴻上くんはあたしに近づく。
「…ただし」
クイ、とその指があたしの顎を軽くつかみ上向かせる。
間近に迫る強い瞳にとらえられて動くことができない。
「これからお前は…」
周りの音が聞こえなくなり、ただ聞こえるのは鴻上くんの声だけ。
「オレの犬だ」
え?い、犬??
「よろしく、ワンちゃん」
目をぱちくりさせるあたしにイジワルな笑顔を見せて鴻上くんは去っていった。