陽だまりのような物語
「ただいま!!!」
私は勢いよく玄関の扉を開けた。
中から美味しそうな匂いがした。今日はシチューかな。…じゃなくて!!
「あら朝陽、おかえりなさい。なに、なんか怒ってるの?怖い顔して」
「怒ってない!!!」
ドスドスドスと音をたてながら階段を上がる。
上りきって1番手前にある扉の前に立ち、3回ノック。
ドンドンドンッガチャ
「ちょっと、いつも返事してから入ってって言っ「夕陽!私またふられた!!」」
相手が言い終わる前に私は叫んだ。
いきなりでびっくりしたのか、相手は一瞬目をまんまるくした後すぐ、はぁ。とちいさいため息をついた。
. .
「…また?」
. .
「まただよ!!!」
はぁ。とまた相手は大げさにため息をつく。
このため息をついた相手、もとい夕陽は私の双子の弟だ。
フワフワの猫みたいなクセっ毛、女の子みたいに白い肌、長いまつげ、切れ長の二重を覗けば、ビー玉みたいな黒目でこちらをジッと見つめてくる。
、、我が弟ながら、綺麗な顔立ちだと思う。顔だけは。
ただ、性格に難あり。
「どーせまたおっもいセリフとか、もらって困るようなプレゼントでもあげたんでしょ」
ほら、早速。
「っそんな事ないよ!プレゼントとか、カイトすっごい喜んでくれてたもんっ」
「じゃあなんて言われてふられたの?」
「…それはっ…」
「ほら。やっぱりね」
、、我が弟ながら、本当の性格悪い男だ。