隣り合わせ
葛藤
「そっかぁ…。」
俺は、吸い込まれるように原田さん、麻衣の事を兄貴に話していた。
誰かに聞いてもらいたかった自分に気付いた。
きっと…。
あやふやな俺の心の答えを誰かの口から、聞きたかったんだ。
「後悔すんな!」
兄貴は、車のバックミラーを見ながら言った。
「……。」
「お前、苦しくて、此処に来ただろ?」
兄貴の言う通りかもしれない。
疲れたんじゃなく。
この気持ちを保つのが、苦しくて止まなかったんだ。
「そうかもなっ…。」
「ぶつかってみろよ!」
「えっ?」
「麻衣って子もお前の、気持ち知ってて、ぶつかってきたんだろ?」
兄貴は…。
そう言って、後は何も話さなかった。