隣り合わせ

「あの〜?」

図書館の入り口で、声を掛けてきたのは、敦君の好きな人だった。

お腹に手を当てながら、片手には手芸用の本を持って。


「・・・・」


「木下君の友達だよね?こないだ、会いましたよね・・・?」


ドキドキした。

だって・・・凄い優しい眼差しで私を見つめるから。


「あっ!はい・・・。」


「よかったぁ〜!」


安心した顔で、笑みを返してくれた。

なんとなくだけど、憎めない人だと思ったの。

無邪気に笑う姿。

嫉妬とか、ねたみとかじゃなくて。


『この人には勝てない。』


「木下君、ずっと家に帰ってないみたいで・・・。」


「あ〜!しばらく実家に帰ってるんですよ?」


そう言うと…。


「そうだったんだぁ!」


少し照れながら、笑ったの。
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