隣り合わせ
―――トン.トン.トン…♪


懐かしい音。


原田さんがいると確信できて、目が覚める。


戻って来たんだ…。


どうやって、顔を合わせたらいいか?


そんな事を考える。


隣りにいるのに、もどかしい気持ちになる。


驚くだろうか?


『多分…かんちゃん。』


かんちゃん、その存在があったらどうしよう。


俺は、荷物から服を取り出して洗濯機を回した。


また、一人暮らしが再開。


『戻って来てもいいのよ?』


お袋からの言葉がよぎる。


もう少し、一人になりたい。


そして、大学受験までは自分でやってみたいと思うんだ。


俺は、参考書を鞄に移して…図書館に向かう準備をした。


麻衣の事、気にならない訳ではないが、亮の重々しい言葉に、少し…責任を感じていた。


麻衣が何故?


返事のいらない告白から、不思議だと思っていた。


とにかく、謝る事しかできない俺。


準備が終わった頃には、原田さんの部屋も静まり返っていた。
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