隣り合わせ
「悪い…助かるよ!」
麻衣も安心したように。
「じゃあね!誰かさん?待ってるみたいだから…。」
少し淋しい顔をして、麻衣は後ろにいる原田さんに会釈して…。
図書館から出た。
「…?…」
手芸本を両手に沢山抱えた原田さんが、麻衣と入れ違いに現れた。
原田さんは、麻衣を指差しながら、
「いいの?」
小さな声で言った。
ここは図書館。
普通に喋ると白い目線が、一斉に向く。
俺は、頷きながら原田さんに笑顔を見せた。
沈黙の空間で…。
俺の心は複雑。
こんな沢山の本があって今の状況を、完治できる本があるなら?
飛び付いてる。
『女の気持ちが分かる本』
笑っちゃうけど。