少しお話しをしようか?
男は、気に入ったモノは有り余る財力で手に入れようとしました。

要らなくなったら壊せば良い。代わりに新しいものをお金で買えばいいのだから。

女、地位、土地…

全てお金で解決していきました。

男には、お金でなんでも解決する世の中に不満など一つもありません。

「この世界は俺のもの、満月のように世界は何一つかけてなどいない。」
それが男の口癖でした。

ある日男は街ですれ違った女に一目惚れしました。

彼女の漆黒の髪は、墨のようで、腰までかかる長い髪はゆるくカールがかかっており、彼女が動く様は黒アゲハの様に見えました。それはもう美しい女でした。

男は、どうにかして彼女を手に入れようとしました。

ある時は、偶然居合わせた様にみせかけて話しかけ

またある時は、金で雇った男にその女を襲わせて嫌がっている所を助けて。

その度に、男の心をくすぐらせるその女の声、仕草、表情。
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