アシタノヒカリ



その場で動けなくなった私に気づくことなく、彼は知らない女性と行ってしまった。

誰が見ても幸せそうなカップルとして、腕も組んでいた。


それを見た瞬間、気づいた。

私との関係は、とっくに終わっていたんだ。

それでもう、新しい彼女と仲良くやっていたんだ。

だから、長い間連絡がなかったんだ。

逢いたいと思っていたのも、声を聞きたいと思っていたのも私だけなんだ。


私はその日、どうやって家に帰ったのかも覚えていない。

家に帰ってから何をしていたのかも、ご飯を食べた記憶さえもない。

終わる時って、こんなにも呆気ないんだ。

ダメージを受けるのは私ばかりで、泣き叫ぶことさえ出来ない。

文句の一つも言うことは出来ない。

お互い好きだったはずなのに、実際の距離には勝てなかったんだ。

1人だけ先に進み、私の想いは消化されずに残ったままなのに。




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