アシタノヒカリ



助けは諦めて、自分でなんとかしようと思ったけど、離すつもりは全然ないらしい。

話すって、何を話すのだろう。

楽しくもないのに。

あからさまに表情に出したのに、この人は気づきもしない。



「はい、座って。仲良くしようよ」



腕から手を離したかと思えば、私の両肩に手を置き、強制的に座らせる。

そして、肩に手を置いたまま私を抱き寄せる。

ドキドキするどころか、寒気と吐き気しかしない。



「ちょっと、離して下さいっ」


「嫌がるふりしても離さないから、諦めてよ」



ふりって……本気で嫌がっているのも分かっていない。

こんなにも逃げたいと思っているのに。

こんな人、誰が相手にすると言うのだろう。

相手の気持ちを考えないような人に、興味は持てない。

誰だってそうだと思うのに。




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