アシタノヒカリ
*停まった時計
しょせん、こういう人は誰だっていいんだ。
その場を楽しめれば、それでいい。
いざとなったら酔わせてモノにすればいい。
そんな相手になるのはごめんだ。
必死でもがいて、無理矢理剥がそうとしたその時だった。
肩に置かれたままだった手は離されて、私は強制的に立たされたかと思えば、次の瞬間抱き締められていた。
驚く暇も逃げる暇もなかった。
たださっきまでと違うのは、ドキドキすること。
そして、懐かしい香りがした。
「馴れ馴れしく触るな」
頭の上から、懐かしい声がした。
でもそれは、気のせいだと思う。
だって、こんなところに彼がいる訳がないのだから。
「何だ、お前は」
急に現れた存在にさらわれて気に入らないのか、怒っている感じが取れる。