アシタノヒカリ



酔っているのに、そういうことだけは早い。

その人のおかげで、男も口を挟めなくなった。



「ここにいる誰よりもイケメンじゃん。羨ましい」



失礼なことを言っているはずなのに、男メンバーは黙ったまま。

女メンバーは、お酒のせいなのか、翔くんのせいなのか、顔が赤い。

誰もが急に現れた翔くんに釘付けになっている。



「そういう訳だから、知那を連れて帰ってもいいかな?」



さっきまでとは違い、優しい口調と顔で言う。



「あっ、どーぞ。持って帰って下さい」


「ありがとう。
じゃあ知那、帰ろうか」



抱き締めていた手を離すと、自然と手を繋いだ。



「え?あ、あの……え?」



私の頭はパニックのままだ。




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