アシタノヒカリ
*ヒカリのほうへ
何かを聞く前に、翔くんに手を繋がれて、引かれるままにマンションへ入っていった。
まだ、新しそうなマンション。
家賃とか高そうだ。
だけど、ここが翔くんのマンションってどういうことだろう。
そもそも、翔くんはこっちに住んでいないはずなのに。
「入って」
エレベーターで10階まで上がり、一つの部屋のドアを開ける。
そこで、ようやく声を聞いた。
何かを聞ける雰囲気ではなく、私も黙ったままだった。
「……お邪魔します……」
促されるままに入るけど、そこは殺風景だった。
必要最低限の家具しかなく、本当にここに住んでいるのか疑問に思うほどだ。
「紅茶入れたから、座って」