アシタノヒカリ
ぼーっと辺りを見渡していたら、いつの間にか用意していたみたいだ。
私の好きなミルクティの匂いがする。
まだ好みを覚えてくれていたことが嬉しかった。
「何より先に、クリスマスはごめんなさい」
私が座るなり、頭を下げて謝られた。
その言葉で、辛い思い出が蘇った。
鼻がツンとなり、泣きそうになってしまう。
だけど、ここで泣いてしまうのはズルい気がする。
だから、なんとか我慢した。
「気づいたと思うけど、あれはあの女が仕組んだこと。
何より、俺はあの女と付き合っていた訳じゃない」
「付き合って、いない?」
「当たり前じゃないか。俺の彼女は、知那だけだ」
きっぱり言う翔くんは、嘘ついているようには見えない。