きみが望めば
「ガイドでない俺は、もうお前の心は読めない。」
「ファンタジーの世界で生きられるの?」
「莉乃といたいと思ったから。」

不安げな莉乃の瞳を見て、俺は抱きしめる腕を緩めていた。

「大丈夫。安心して。」
「何が安心よ、いつもいつも大丈夫って、ラファもソラも、そればっかり、、っ」
俺の胸元をぎゅっと掴む。

屋外に開かれた扉の向こうは、夜の闇が広がっている。
雨ではなかった。
望みがないことはないらしい。

「莉乃、このまま、、」


そのとき、あいつが入ってきた。


「姫を離したまえ。」
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