きみが望めば
18.塔の上の姫君
アル王子はあたしに部屋を用意してくれていた。
それはとっても素敵な部屋だった。
このお城を見た時のように、あたしは素敵で息を飲んだ。

「気に入った?」
デジャブかと思った。
「ふ、やっと笑ったね。何かおかしかったかな?」アル王子もやっと笑ってる。

「だって、ここに来た時と同じこと言ってる。お城に着いた時。」
「そうかもしれないね。リノ姫が気に入ってくれたかどうかは気になるからね。」
「覚えてないのね。」

薄いピンクの壁には薔薇の模様が浮き出されている。柔らかそうなベッドもピンク、ソファもピンク、一面に敷かれた真っ赤な絨毯、タンスや小さなテーブルは白が基調になっている。
女の子って感じの部屋なのに、このピンクに心がときめいてくるから不思議。
本当のあたしの部屋はすごーくシンプルだったなぁ。
部屋の中をあちこち見てしまう。

「そんなことはないさ。覚えているよ。」
窓辺により、外を見る。
窓の縁飾りまでかわいい。金色の鳥のモチーフがついてる!
窓の外は真っ暗。。

ラファ、大丈夫かな。。
無事でいてほしい。。


「振り向かせてみせる。」
声に驚いて振り返る。
苦笑するアル王子。
< 107 / 175 >

この作品をシェア

pagetop