きみが望めば
男はじっと莉乃を見つめたかと思うと
腕組みを外し、ゆっくりと莉乃へ近づいてきた。
「な、なによ?」

もう近すぎるほど目の前に迫る。
緋色の髪、金色の瞳、端正な顔立ち。


突然、がばっと抱きしめられた。
「きゃっ!」
ぎゅっと苦しいくらいの力で胸に抱き入れられ
息が苦しくなった。
男が額にくちびるを押し当ててきた。
ぞくりと恐怖を感じ莉乃は力いっぱい暴れた。
「いぁ、ぁ、、離して!」

「っ痛、」
なんとか飛び出した手が男の顔を引っ掻いた。
男の腕が一瞬緩み、莉乃は空気を思い切り吸い込んだ。
ゲホゲホ、っと咳き込む。

「これが答えだよ。」
「は、、はぁ?!」
涼しげに瞳を輝かせる男を、莉乃は思い切り睨みつけた。
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