きみが望めば
「ときめけ。」
「え?」

「帰りたければときめけ。理想の王子を魅了しろ。ハッピーエンドにたどり着けばクリアで、元の世界に戻れる。」
ぽいっと腕から放り出され、莉乃は唖然としてしまった。

「ちょっと・・」
思わずぐっと背中を向けた男の腕を掴んでしまった。
「俺はやめときな。帰れなくなるからな。」
ぺろん、その男はあたしの頬を、頬を・・!!
「きゃーっ!!?」

舐められた!舐められたぁー?!

「俺はラファだ。おまえをハッピーエンドに送り届ける。仕事だからな。」
涼しい顔をしてラファはさっさと先に進もうとする。
あたしはまだ頬を押さえたままだ。

ついていく、の?
< 12 / 175 >

この作品をシェア

pagetop