きみが望めば
「心配していた。」

「ありがと。あたしは大丈夫だったよ。ねぇ、ラファは?ラファは大丈夫だったの?どこにいたの?」

見上げるあたしに、ラファの瞳は強く煌めいているように見えた。
「莉乃が想ってくれているのが聞こえたよ。」
「ラファが無事でありますように、、って。」

ラファはゆっくり頷いた。
「ああ。莉乃が想ってくれる度、俺の身体は温かくなった。眠れる場所も見つかった。ここまで来る方法も与えてくれた。」
ラファはバサッとマントを広げて見せた。
「飛べる、とか?」
微笑するラファ。
「ああ、これで飛んできた。莉乃が想ってくれる前には、ただの黒いマントだったんだ。」
あたしは目をぱちくりさせた。

「願えば、これでハッピーエンドまで行ける?」
「それはどうかな。ハッピーエンドは特定の場所じゃないからな。」
「そうなの?あたしてっきり、、」

ラファは扉の向こうを見つめる。
全身黒づくめの格好をしてる。
ほんと、黒い騎士、そのものみたい。
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