きみが望めば
そう言ってラファが持ち上げたあたしのワンピースの裾に、くっきりと薔薇の模様が浮き上がっていた。
部屋の壁にもあったのと同じ薔薇の模様だった。
「これって、もしかして?」
「王家の模様だろう。国旗にも同じ薔薇の模様が使われていた。」
ラファは後方、樹々の向こうのお城を示した。
「ほんとだ、このワンピース、全身薔薇の模様入りになってる!」

白っぽくてわからなかっただけで、赤紫色に染まったワンピースは王家の薔薇の模様を見る見る鮮やかに浮き彫りにしていく。

「この格好じゃ逃げられないわ。すぐに着替えないと、、あれ、何かしら?もしかして小屋か何かじゃない?」
「とりあえずこれを掛けていろ。」
ラファはあたしにマントを被せると、ここにいろ、とあたしを押しとどめ、ひとりで先に見える建物に近いて行く。

大丈夫でありますように。。
ラファの背中に祈った。




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