きみが望めば
外壁に緑がびっしりと生い茂ったログハウス風の建物に、ラファは近づいていった。遠くてよく見えないけれど、ラファは建物の中に入ったようだった。

大丈夫でありますように。
無事に帰ってきますように。

鳥の鳴くような甲高い声が聞こえた気がした。


なかなか出てこない。

見に行こう、ラファのマントを身体の前でぎゅっと合わせた。
その時だった。

かすかにログハウス風の建物の扉が開いた気がした。
「ラファ?」
目を凝らしてよーく見る。



「ラファ!」

ラファが黒塗りの馬にまたがり、すごい勢いで走らせてくる。
「どうしたの、その、、きゃっ!」
「掴まれっ!」
スピードを落とすことなく、ラファはあたしを馬上に引き上げた。ぐっと引っ張り上げられ、ラファの前にお姫様抱っこ状態。

「しっかり掴まってろ!」
あたしはぎゅっとラファの身体にしがみついた。
疾走する馬。風が、身体中で受け止めているみたいに当たってくる。
後方で馬のいななきが聞こえたようだった。

「ちょっと借りてきたんだ。」
頭上でラファが後方を一度振り向いた。
更に馬の走りが速くなった。

「お城の、兵士の馬なの?」
「ああ、たぶんな!薔薇の模様の入った騎士だったよ!小屋の外にいたんだ!」

追ってくる騎馬兵が見えた。



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