きみが望めば
「ラファ?お待たせ。」
岩肌に隠れて声を掛けた。

ラファの頭が見える。パチパチとはぜる焚き火のそばにいるみたい。
あたしは、服を洗ってしまっていたから、下着にマントをぴったり前まで合わせてなんとか凌いでいた。こんな格好じゃ出ていけない。

「そろそろ乾いているだろう。」
吊るしておいた服を取って近くに置いてくれた。

お湯に入る前に、ワインでずぶ濡れになった服を洗って置いた。
汚れてしまった服は、ワインの色が水で薄まっただけみたい、赤茶色っぽく変色してる。薔薇の模様ははっきりと見えてしまってる。

それでも着れるものは今はこれしかないから。
火で温まった服に袖を通し、焚き火に近寄る。
「わぁ、、服からまだワインの香りがすごくする。」
鼻をくんくんさせる。

「ね、お酒くさいかな?」
焚き火のそばにいたラファは上半身、裸だった。
「香り、莉乃の香りしかしない。」
金色の瞳が揺れて、すぐに瞳が逸らされた。
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