きみが望めば
あたしはそれを伝えたくて、羽を確認しようと身体を乗り出した。
「きゃっ!」
「ぉ、っと。」

間一髪、ラファの腕に支えられた。
「羽が見えるのか?下に着いたら確認しよう。今はふたりとも危うくなりかねない。」

街は足元に小さく見えていた。



しばらくして、ぐっと地面に降り立った感じがした。馬がブルブルっと鼻を鳴らした。がしがしと地面を蹴っている。
ずしっと重力を感じる。
「よし、よし、どー、どー。いい子だ。」
ラファが興奮した様子の馬の首筋を撫でる。
「莉乃は大丈夫か?」
「う、うん、大丈夫。着地の衝撃がちょっとあったけど。あそこみたいだね。街?」

少し先に灯りが見えていた。樹々の茂みが少し開けたところにあたしたちは降り立っていた。
「どこが痛む?」
ラファがそっとあたしを馬から降ろしてくれる。
「ん、、大丈夫だよ、そんな痛いってほどじゃ、ちょっと沈み込む感じが重たかったってくらいだから。」
「莉乃。」
軽く手を振ってみせたら、まっすぐな瞳で名前を呼ばれた。
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