きみが望めば
あたしはただ、必死で祈っていた。
そっとラファの身体に触れていく。
「泣くな、大丈夫だから、、」

ぴゅーー、、


風が舞い上がった。
砂が舞い、それを避けようとマントの端を掴む。
「、、そうだ、小鳥さん、お願い、ラファを運んで。どこか、、」
月明かりだけを頼りにあたりを見回す。
砂浜のようだった。
どこまでも続くような砂と、時折ゴツゴツした岩山が見える。

「あの岩のあたりはどう?風が防げそう!」
渋る小鳥さんに何とか頼みこみ、マントをラファの身体に縛り付けた。
「ゆっくりね、」
ふわり、とラファの身体が砂から浮かび上がった。金色の翼が美しい羽を広げ、すーっと砂の上を飛んで行く。
あたしは砂に足を取られながらも後から彼らを追いかけていた。

「よかった、小鳥さん、ちゃんと運んでくれたみたい。」
ラファが早く良くなりますように。。

砂の上は歩きづらくて、足を取られて転ぶ、何度目かの時だった。

背後から馬の蹄の音が聞こえてきた。
物凄い速さで駆けてくる。


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