きみが望めば
花畑の中央、そこにはさっきまでなかったはずの、小さな小瓶みたいなのが浮かんでいた。
光を浴びてキラキラして、中のピンクの液体もとってもきれい。
「あれ、何?さっきまでなかったよね?」
「ここはファンタジーの世界ですからね。不思議なことが起こるんですよ。」

ああ、そっか。妙に納得して、あたしはその小瓶に呼ばれるように近づいていった。
「いいの、かな?」

微笑んだソラがもちろん、と言ったので
小瓶の下にそっと手を伸ばすと、それはふわりと手のひらに落ちてきた。すっぽりと手に収まるサイズだった。
「香水ですかね?」
ソラが背後から覗き込む。
すぐそばにきれいな顔が近づいてちょっと焦ってしまう。
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