きみが望めば
白馬はぶるるっと言うと、走り出した。
手綱を握るのはソラだけど、行き先はこの白馬が決めているみたい。
「王子のところへでも行くんですかね。。まだ早い気がしますが。」

その時、あたしの頭にぱっと浮かんだ顔があった。
「王子っ!もしかして、あの王子のこと?!」
いきなり大声を出したからか、白馬は驚いて後ろ脚で仰け反るように体を持ち上げた。
「きゃーっ!!」
「くっ」
あたしの身体を支えてくれるソラの胸にぶつかる。
白馬は湖に沿った道を疾走し始めた。
ソラが手綱を引き、白馬の身体を撫でながらなんとかなだめにかかっている。
あたしはソラの胸と白馬の間で押しつぶされそうだけど、なんとか白馬が止まってくれることを願っていた。あたしの大声のせいだったから。
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