きみが望めば
「よし、よし、いい子だ。」

しばらく後、白馬はやっとゆるやかなペースで歩き出した。鼻息も荒くない。
ぽつり、ぽつりと雨粒が落ちてきていた。
雲のせいか、辺りは暗くなってきていた。

背後でソラがほっと息を吐くのがわかった。
「ごめんなさい。」
謝りたいのと、安堵感とでぐちゃぐちゃだった。でもぽつりと言った言葉にソラは抱きしめて応えてくれた。
肩を抱かれている。
「大丈夫。」
力強い言葉だった。

振り向こうとすると、抱きしめる腕に更に力が加えられて、振り向けない。
「ソラ?」
「そのままでいて下さい。」
耳元でささやく声にどきっとする。

「すぐ下ろしますから。」
「ぁ、はい。。」
降ろされてもどきどきがなかなか収まらない。

雨粒が大きくなってきた。
あたしたちは湖に沿って歩き、ほとりの木陰で雨宿りすることにした。

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