きみが望めば
再び事務所に戻った。今日のリストを片そうとすると、レドが声を掛けてきた。

「おーい、ソラ、だめだよ〜、きっちりあっちに届けて来なきゃ。」

ほれ、と指差す先を見る。

「ん?」

俺の足元にさっき引っ張り込んできた女の子がいた。

俺は眉根をあげた。
「あれ?どうしてついてきた?君の世界に届けてあげたのに。」

女の子はしっかりと俺のマントの端を握りしめていた。

「私の世界って、あの、白いひらひらフリフリ青い目の男のひとがいた、あそこ??」

うんうん、とうなづいて見せる。そりゃ、皇子の設定だし、あんな感じなんだろう。
大概ここに来た女の子たちは自分の望んだ王子の設定に満足して帰っていく。

だが目の前のこの女の子は首を傾げた。
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