きみが望めば
雨の空を見つめて何も言わないソラ。
あたしたちはぼたぼたに濡れていた。白馬も濡れて、一緒に雨宿りしている。
「天気よかったのにね。」
ソラは何も言わない。
「ごめんなさい。あたし、突然ここに来た時に見た王子のこと思い出しちゃって。もしかして、あの人があたしが出会いに行こうとしてる王子なのかなって思ったらびっくりしちゃって、、」

ゆっくりあたしに視線を移したソラ。
笑顔がない気がした。
「貴方の香りは、貴方の気持ち次第で強くも香るようです。その香りは危険にもなる。」

「こうすると、」
ソラの手が伸びてあっと言う間にあたしはソラの胸に抱きしめられていた。
ソラのきれいな顔がすぐ上からあたしを覗きこむ。だけど、微笑んでいないソラはラファのことを思わせた。青い瞳なのに。



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