きみが望めば
ラファは瞳を閉じた。
「香りのせいでソラと簡単に代われそうにないんだ。あいつに代われるまで、俺がガイドする。安心しろ。襲ったりはしない。」

「まだ香るの?」
自分の手首に鼻を近づけてみた。
何もわからない。雨のせいで香りも消えてしまったみたい。スカートのポケットに入れていた小瓶も蓋はしっかり閉まっている。

そっと少し焚き火に近づいた。炎を囲んでラファの正面に。炎の向こう、緋色の髪、精悍な顔立ち。ソラもラファも同じ身体なんだなぁと改めて思う。中身が違うだけで。

「香る。」
はっきりと肯定される。

「そうなんだ。。」
金色の瞳があたしを見つめる。身体が火照ってくるようだった。

はやく、、天気が回復したらいいな、、

あたしはしばらく、雨音と、火花が弾ける音を聞きながら、炎の向こうに揺れるラファの姿を見つめて雨が止むのを待っていた。

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